第35回大会長 中村延江 桜美林大学
この度、日本自律訓練学会第35回大会のお世話をさせていただくことになりました。
本年は、シュルツ先生が1932年に「自律訓練法―集中性自己弛緩」を刊行されてから80年目になります。この名著が現在の自律訓練法の基礎であると言えると思います。
自律訓練法は、日本に導入されてから、さまざまな領域で用いられ発展してきましたが、特に心身医学の分野では、治療技法として用いられ、交流分析、行動療法(現在は認知行動療法)と並んで治療の3本柱として多くの症例に適用されてきています。
その効果は、臨床面、研究面で様々に実証されてきましたが、現在、脳科学も発展し、脳の機能を把握する技術も開発されてきています。その他の生理的指標も把握しやすくなることなどから、具体的な効果が実証されることも増えてきています。
そこで、今回、もう一度、自律訓練法施行による変化をいくつかの側面から確認し、自律訓練法施行の効果のエビデンスを検討してみたいと思っています。
また、自律訓練法は、心身に働きかける技法と言えますが、そのプロセスでイメージを用いることも多いと考えています。そのイメージと脳の関係も研究されてきているようです。
そこで、今大会では、メインテーマを「自律訓練とイメージ」とし、「身体感覚イメージと脳」のタイトルで東京電機大学工学部教授月本洋先生に特別講演をお願いしました。さらに、自律訓練法施行による脳を含めた変化を検討するシンポジウムを組んでみました。
自律訓練法の元年とも言われるシュルツ先生の「自律訓練法」発刊の年から80年を迎えるにあたり、自律訓練法がさらに発展する機会になればと考えております。多くの先生方にご参加いただき、ご意見を頂ければと期待しております。
夏の終わり、初秋の頃ですが、勉学のシーズンの幕開けとして、沢山の方々のご参加をお待ちしております。
今回の会場は、日本大学文理学部の百年記念館を使わせていただきます。ご尽力くださいました日大の松野先生をはじめとし、さまざまな面でご協力くださいました先生方のお陰で何とか開催できるようになりました。心より感謝申し上げます。